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ベリーショートストーリーズ 館林見晴編

賭け

《卒業式の日、伝説の樹の下で女の子から告白して生まれたカップルは永遠に幸せになれる》
 きらめき高校に通う生徒なら、誰でも耳にする噂話。
 そして、女の子なら誰でも夢を見る。
 好きな人に告白出来たらいいのに…と。
 私も夢に見てた。けど、一度だけのデートで諦めた。他の子達には敵わないと思ったから。
 なのに、卒業式から二日たった今日に私は伝説の樹の下にいる。
 彼が誰にも告白されず、一人の女の子を探していたという噂を耳にしたから。
 卒業式の日、私は終わったらすぐ帰路についていた。彼が他の女の子と一緒の所を偶然にも目撃しないために…。
 それなのに、彼は一人の女の子を遅くまで探し、一人で帰ったというのだ。
 私は賭けをする事にした。
「館林です。明日、伝説の樹の下で待ってます」
という伝言の留守電を入れたのが昨日の話。
 彼が私を探していたのなら、来てくれる筈。
 といって、確率の低すぎる賭けに、前を見ることは出来ない。
 俯いたまま、突っ立っている私の耳に、駆けてくる足跡が入ってきた。
「館林さん、遅くなってごめん」
 彼の声に、ようやく私は顔をあげる。
 待ち望んでいた彼の笑顔に、私は思わず涙ぐんでしまう。
「来てくれてありがとう。本当に来てくれるなんて…」
 それしか言えない私に、彼は手にしてた包み紙を差し出してくれる。
「館林さんって今日が誕生日なんでしょ? 気に入って貰えるかわからないけど、これ誕生日プレゼント。誕生日おめでとう、館林さん」
 彼の言葉に、私は涙の返事しか出来ない。
 ストーカーみたいに彼につきまっとていた私なのに、嬉しい事しかしない彼だったから。
「館林さん。泣かないで。泣かれるとどうすればいいか、わからなくなるから」
 彼の困り果てた言葉で、私は必死に涙を止める。彼を困らせたくて、流してる訳ではないから。
「ごめんなさい。嬉しかったから。来てくれた事も、プレゼントを用意してくれた事も」
 ハンカチで涙を拭き取り、彼を見つめる。
「迷惑かもしれないけど、私はあなたが好きです。よかったら私と付き合ってくれませんか?」
 拒絶の返事ではありませんようにと、願いながら言葉を紡ぐ。
 そんな私に、彼は笑顔で答える。
「こちらこそ俺で良かったらお願い致します」
 彼の返事に、私の目から再び涙が流れ落ちる。
「館林さんって、よく涙を流すんだね」
と言いながら、彼は優しく涙をふいてくれる。
 そんな幸せに私は祈っていた。
(伝説よ。二日遅れでも伝説にして下さい)
と。
 さわさわとそよぐ葉の音が
(いいですよ)
と答えてくれてる気がして、私は涙を流しながら、笑みを浮かべていた。

 こうして私は一目惚れの彼と付き合う事になった。
 同じ大学に合格していたから、大学生活も一緒だけど、何かともてる彼だから、不安は多い。
 けど、他の子ではなく、私を選んでくれた彼を信じて、一緒に歩んでいこうと思う。
 その気持ちが伝説になると思うから。

END

☆亜衣より☆
 最後のデートイベント経験した後、サターン版で自分から告白したかったという友人発言から生まれたSSです。
 私も折角自分から告白できるようになったのだから、館林さんに告白できたらなと思いましたし。
 最後のデートイベント後なら知らない中ではないのですし。
 今日が館林さんの誕生日ということで大急ぎで仕上げてみました。
 また、感想をお待ちしています。

2016年8月12日作成
2016年8月12日更新
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