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うれしはずかし初デート

本編

 おろしたてのピンクのワンピースと白のカーディガン。ちょっとお嬢様ちっくの服装に、潤はどんな反応をしてくれるんだろ。
 初デートは付き合う前よりもドキドキをくれる。
(静まれ、メイの心臓。たかが潤とデートするだけではないか!)
 そういい聞かせても鼓動は早くなるばかりでおさまらない程。
 ただ恋人に変わるだけと思っていたけど、そうじゃない事はメイの行動が教えてくれる。
 感情は計算だけでは動かないという事も。
 今までも映画館に言った事はあったけど、ここまで緊張もおしゃれもする事なかったし…。
(付き合うってこんな事を言うのかな?)
と改めて感じさせられる。
「メイ様、お時間ですよ」
 その声に、メイはもう一度服装チェックをしてから屋敷を出た。

 待ち合わせに行くと、案の定潤は先に来て待っていた。
「メイ、久しぶり。会わない内に可愛くなったな」
 メイの姿を見つけるとすぐにそう言ってくれる潤に、すごく嬉しくなる。けど、表にはには出さない。ううん、出せない。悔しくて…。だから、そっけなく
「ありがとうなのだ」
と言い、映画館に向かう。にこにこしている潤を見るのが恥ずかしくて…。
「メイ、前売りを買っておいたんだ。さあ、入ろ」
 並んでいる当日券の列の横をすり抜けて、潤が映画館に向かうので、メイもついていって中に入った。
 そして、チケット代を潤に渡そうとしたが、止められてしまった。
「今日は俺のおごり。たまにはこんなのもいいだろ?」
 相変わらず伊集院家の娘として扱わない彼がすごく嬉しい。だから、言葉で感謝の気持ちを表す。
「ありがとうなのだ」
 映画は前評判通りかなり怖い映画で、怖いもの知らずのメイも思わず隣の潤の腕をつかんでしまった。
「メイ?」
 潤が少し驚いてメイを見てきたが、メイが離そうとしないので、結局そのままの体勢で映画を見続けた。
 そして、映画を終わった後もメイは潤の腕をつかんだままでいた。折角つかめたものを離したくなかったから。
 その気持ちは潤にも伝わっているのか、何も言わず、そのままでいてくれた。
 言葉少なめに向かったのは中央公園。そこのベンチに二人並んで座った。
 言葉はなくても流れる時間が優しいから、メイは嬉しくなる。
「なかなか会える時間を作れなくてごめんな」
 ぽつりと漏らされた潤の言葉にメイは首を振る。
「覚悟してたからいいのだ。忙しくても時間を作ってくれる。それだけでメイは嬉しいし…」
 ぴとっと潤にくっつく。
 潤は後ろから優しく抱きしめてくれる。
「側に始終いられなくても、俺はメイの事が大好きだから」
 静かだけど、力のこもった声にメイはうなずく。
 そして、辺りが暗くなるまで、ずっとそうしていた。

END

2016年7月21日作成
2016年7月21日更新
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