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真夏の夜の夢
 ゆかりに誘われてやってきた仮面舞踏会。
 白いドレスに、結われた髪の毛に、黄金のティアラ、それにファントムマスクをつけた私を誰も、あの伊集院レイとは気づかない。
 そう、いつも私とやりあっている彼ですら。
「僕と踊っていただけませんか?」
 ひきりなしに来るお誘い。
 躊躇している私にゆかりが背を押す。
「こんな機会ないのですから、踊りたい方と踊った方がいいですよ」
 その言葉に、私は彼のもとに向かう。
 彼の近くで、誘いを待つが、誘ってこない彼。
 自分からでもと誘おうとした時、
「探しましたよ、最高の姫。さあ、あなたにふさわしいのは僕しかいない。僕と踊りましょう」
 女性客から、熱烈なアプローチを受けていた男から、誘いが入った。
「いえ、私は…」
「奥ゆかしい方だね。素晴らしいよ。さあ、踊ろう」
 強引な男に、困り果てていると、彼が割り込んできてくれた。
「嫌がっているだろ。離せよ」
 彼は強引に男から、私を引き離すと、人気のないテラスまで、私を引っ張ってきてくれた。
「ここまで来たら、あいつも諦めるだろ。あんな奴に目をつけられるとは災難だったな。俺は行くから、ほとぼりが冷めるまで、ここにいるといいよ」
 私をおいて、テラスから去っていこうとする彼に、勇気を持って声をかける。
「あなたは私を誘ってくださらないのですか?」
「誘ってて…。君は俺に誘われたいの?」
 当惑する彼に、私は笑顔で答える。
「はい」
「じゃあ」
 彼は私の前できちんと立つと、手を差し出してきた。
「俺と踊っていただけませんか?」
「喜んで」
 私は彼の手を取ると、中から流れている音楽に合わせて、ダンスを踊る。
 彼のダンスはお世辞にも上手だとは言えないものだったが、それでも私は彼とダンスできるだけで幸せだった。
 その幸せのときは舞踏会終焉の時まで続き、私は彼に心より、礼を述べた。
「ありがとうございます。楽しかったです」
「俺も楽しかったよ」
 本心からの彼の笑顔を私は胸にとどめる。最初で最後の機会だというのはわかっていたから。
「では」
 彼に笑顔を向けると、私は帰っていく人ごみの中に消えた。
 彼にとっても、私の事がいい思い出に残るといいなと願いながら。
 真夏の夜が見せた夢、幻のダンスの相手として…。
END
10/03/29 19:27更新 / 作品集

■作者メッセージ
真夏の夜の夢というタイトルから書いたSSです。
今回はその場だけという演出で書いてみました。
男の姿のレイ様も好きですけど、やっぱりレイ様は女ですね。
前に選手権で書きそこなった話とかもあるんで、ぼちぼち書いていきたいですね。


書き始めたのはいいですが、途中で止まっていますね(^_^;)
ちゃんと書き上げたいです。

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