雑記

読切小説
[TOP]
X'masの準備
 毎年、恒例の伊集院家のクリスマスパーティの準備が、今年も始まっていた。
 15年前、きらめき高校在校の時から、欠かさず続けてきたクリスマスパーティ。
 理事長になった今でも、きらめき高校生徒に楽しんで貰うために、開催していた。
「レイ、今年も顔を出さないのか」
「顔を出すわよ。理事長としてではなく一参加者としてね。私は生徒にとっては謎の理事長だから」
 隣でいつもサポートしてくれている夫、レイと呼ばれた妙齢の女性は、微笑みながら、答える。
「15年前よりボーダーは低いんだな」
「そうね。あの時はお年頃が二人もいたから、センスを磨けない男子はお断りだったのよ。あなたも信乃がお年頃になったら気持ちがわかるんじゃない?」
 そう言われた夫は、我が娘、信乃の事を考え、頷いた。
「そうだな。やるかもしれない」
「あなたがしなくても私がするでしょうね。信乃には私のような思いはさせずにすむと思うけど、それとは違う辛い思いはすると思うから」
「そうだな。伊集院家という存在が付きまとうからな。この家に入って、かなり感じさせられているよ」
 伊集院家という利権に群がる人々の事を思い出し、夫は顔をしかめる。
「伊集院家は巨大だから…。あなたが甘い話に乗らない人でよかったわ」
 レイは甘えるように夫に持たれる。
「今、きらめき高校の伝説が一部変わっているらしいのよ」
「らしいな。卒業式の日、伝説の樹の下で、出来た恋人たちは永遠に幸せになれる…だったっけ?」
「そう。だとしたら、私はあなたとは結ばれなかったかもしれないわね。あなたが別の人に告白したかもしれないから」
 レイに軽く睨み付けられ、夫はたじろぐ。
「いや、俺はレイを探してたよ。あの時、俺はイヤリングの少女だけを想っていたから」
「ありがとう」
 レイは夫の左頬っぺたに口付けをした。
「じゃあ、指示に戻るか」
 照れて、話を反らす夫に、レイは悪戯っぽく微笑むと、夫の左腕に自分の右腕をからました。
「そうね。行きましょう」
 今の伊集院家を支える二人は並んで、忙しく動くものたちの元に向かった。

“誰もが伝説に巡りあうように…”
 それが二人の願いでもあった。

END
10/03/12 22:02更新 / 宮間亜衣

■作者メッセージ
X'mas前の話として、書き出したんですが、思わぬ話の展開になっちゃいました(-_-;)
まあ、この二人は好きなんでいいんですけどね。

TOP | 感想 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.34b
上へ