エッセンの旅立ち
※初めに
サブキャラのネタバレあり作品です。後、サブキャラクターのイメージが違う場合はごめんなさいです。
サブキャラクターにカスタマイズ設定も付け加えています。
※
“冒険って楽しいわよ。特に気の合う仲間とだと余計にね”
姉さんの写真を見る度に思い出す、姉さんの言葉…。
学園に顔を出してくれると手紙があってから、早五年。何も音沙汰がない…。
(流石に潮時かな…)
落第し続けて、居座ったエルシオン学園。
明日にも否応なしに家から迎えが来るらしい。
家に戻りたくない私は家出もとい寮から脱出を考えていた。
家に戻ったら結婚させられるとわかっているから。
荷物をまとめあげ、深夜の寮を抜け出す。
幸い門まで誰にも会わなかった。
が、門の外に人がいた…。
「エッセン。君は変わらないね」
その人影がため息混じりで声をかけてきたので、私は少し肩の力を抜いた。
門の外に待っていたのは、幼なじみのカルロだったから。
私を家に連れ戻しに来たのが、もし、彼だとしても彼なら大丈夫と思っていた。
「学園から脱出してどこに行く気だい? 君は…」
「どこだっていいじゃない…」
姉さんをひたすら待っているだけはもううんざりだったから、飛び出した。
多分、姉さんはもうこの世にいないだろう。
だとしたら余計に、姉さんが愛した冒険を味わってみたい。
姉さんが楽しいと言っていた冒険を…。
それだけのために私は飛び出した。だから、目的地も何もなかった…。
だから、何も言えなくなって黙り込んだ私を、笑顔で見つめているカルロ。
(彼、こんなに落ち着いてたっけ?)
八年前の泣きながら私の後をついてきたカルロの印象が強い私は、そう感じた。
彼を見る私に、彼がある道具を見せてきた。
「これ、何だかわかるよな?」
「キメラのつばさでしょ。それがどうしたのよ」
キメラのつばさ…。それは使用者が行ったことのある街に一瞬で移動させてくれる魔法のアイテム。
彼は一体私をどこに連れて行きたいんだろ。
「悪いことはしない。だから、俺とパーティを組んで着いてきてくれないか?」
カルロは真摯な瞳で私を見つめてきた。
「わかったわ。パーティを組むわ。あなたが連れていきたい場所に連れていって…」
行く当てもなかった私は、カルロを信じて任せることにした。
「わかった。ありがとう」
カルロは笑顔で答えると、キメラのつばさを投げた。
キメラのつばさの力で宙が浮くのが感じられる。
浮遊感が終わり、開けた視界にはまだ一度も訪れたことのない街並みが広がっていた。
「ここは?」
「セントシュタインだよ。ミロさんの仲間だったルイーダさんが冒険者の酒場をしている」
ミロ…姉さんの仲間だったと…ということは、姉さんはもうこの世にいない…。
そのことに気づき、私は少し呆然とした。
覚悟を決めてはいたけど、事実を言われると、何も言えなくなる。
再び、黙り込んでしまった私を、カルロはまた暖かく見守ってくれた。
深呼吸をすると、私はカルロに声をかけた。
「ルイーダさんの酒場に登録するのよね? 早速行きましょう」
「いや、実は登録ずみなんだ。で、連れてきてくれと言われたから、迎えにきた」
カルロの言葉に、私はあいた口が塞がらなかった。
けど、私を冒険の道に誘ってくれたことは確かなので、文句は言わないことにした。
「わかったわ。じゃあ、挨拶に行きましょう。ルイーダさんにパーティとして…」
カルロをともなって、私は街の中に入った。
そのカルロの決断が私達を世界を救う旅をいざなうことになったとは、その時には夢にも思わなかった。
そして、間接ながらも姉さんに会えることになるとも…。
運命の歯車はこうしてまわりだした。
END
サブキャラのネタバレあり作品です。後、サブキャラクターのイメージが違う場合はごめんなさいです。
サブキャラクターにカスタマイズ設定も付け加えています。
※
“冒険って楽しいわよ。特に気の合う仲間とだと余計にね”
姉さんの写真を見る度に思い出す、姉さんの言葉…。
学園に顔を出してくれると手紙があってから、早五年。何も音沙汰がない…。
(流石に潮時かな…)
落第し続けて、居座ったエルシオン学園。
明日にも否応なしに家から迎えが来るらしい。
家に戻りたくない私は家出もとい寮から脱出を考えていた。
家に戻ったら結婚させられるとわかっているから。
荷物をまとめあげ、深夜の寮を抜け出す。
幸い門まで誰にも会わなかった。
が、門の外に人がいた…。
「エッセン。君は変わらないね」
その人影がため息混じりで声をかけてきたので、私は少し肩の力を抜いた。
門の外に待っていたのは、幼なじみのカルロだったから。
私を家に連れ戻しに来たのが、もし、彼だとしても彼なら大丈夫と思っていた。
「学園から脱出してどこに行く気だい? 君は…」
「どこだっていいじゃない…」
姉さんをひたすら待っているだけはもううんざりだったから、飛び出した。
多分、姉さんはもうこの世にいないだろう。
だとしたら余計に、姉さんが愛した冒険を味わってみたい。
姉さんが楽しいと言っていた冒険を…。
それだけのために私は飛び出した。だから、目的地も何もなかった…。
だから、何も言えなくなって黙り込んだ私を、笑顔で見つめているカルロ。
(彼、こんなに落ち着いてたっけ?)
八年前の泣きながら私の後をついてきたカルロの印象が強い私は、そう感じた。
彼を見る私に、彼がある道具を見せてきた。
「これ、何だかわかるよな?」
「キメラのつばさでしょ。それがどうしたのよ」
キメラのつばさ…。それは使用者が行ったことのある街に一瞬で移動させてくれる魔法のアイテム。
彼は一体私をどこに連れて行きたいんだろ。
「悪いことはしない。だから、俺とパーティを組んで着いてきてくれないか?」
カルロは真摯な瞳で私を見つめてきた。
「わかったわ。パーティを組むわ。あなたが連れていきたい場所に連れていって…」
行く当てもなかった私は、カルロを信じて任せることにした。
「わかった。ありがとう」
カルロは笑顔で答えると、キメラのつばさを投げた。
キメラのつばさの力で宙が浮くのが感じられる。
浮遊感が終わり、開けた視界にはまだ一度も訪れたことのない街並みが広がっていた。
「ここは?」
「セントシュタインだよ。ミロさんの仲間だったルイーダさんが冒険者の酒場をしている」
ミロ…姉さんの仲間だったと…ということは、姉さんはもうこの世にいない…。
そのことに気づき、私は少し呆然とした。
覚悟を決めてはいたけど、事実を言われると、何も言えなくなる。
再び、黙り込んでしまった私を、カルロはまた暖かく見守ってくれた。
深呼吸をすると、私はカルロに声をかけた。
「ルイーダさんの酒場に登録するのよね? 早速行きましょう」
「いや、実は登録ずみなんだ。で、連れてきてくれと言われたから、迎えにきた」
カルロの言葉に、私はあいた口が塞がらなかった。
けど、私を冒険の道に誘ってくれたことは確かなので、文句は言わないことにした。
「わかったわ。じゃあ、挨拶に行きましょう。ルイーダさんにパーティとして…」
カルロをともなって、私は街の中に入った。
そのカルロの決断が私達を世界を救う旅をいざなうことになったとは、その時には夢にも思わなかった。
そして、間接ながらも姉さんに会えることになるとも…。
運命の歯車はこうしてまわりだした。
END
10/03/17 22:50更新 / なのか(nanokayuri)